こんにちは、蕨東口すがやの三代目(野菜ソムリエ)です。
先日、市場をプラプラと物色していたら、美味しそうなつぶ貝が売っていました。
うちのお店では普段扱っていない食材なのですが、僕はつぶ貝の煮付けが大好きです。
居酒屋などのお通しで出てくると嬉しくなります。
久しぶりに自分で作って食べようと思い、見つけた瞬間に購入。
今日は、
灯台つぶ貝の煮付けを簡単に作る方法
をご紹介したいと思います。
この記事では、
- 灯台つぶ貝とは、どんな貝?
- 灯台つぶ貝の毒と唾液腺の外し方
- 灯台つぶ貝を煮付ける方法
を紹介していきます。
【灯台つぶ貝】の簡単な煮付けの作り方とレシピ
![](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/2887432_m.jpg)
では、つぶ貝を煮付けていく前に、まずつぶ貝について説明をしていきますね。
そもそも、つぶ貝ってどんな貝?
ツブ(螺)は、軟体動物門腹足綱(巻貝)のうち、食用にされる一部の貝類の通称である。
ツブ貝、つぶ貝とも言い、古名としてはツビ、ツミなどがある。
この名が指す範囲は曖昧で、特定の種や分類群を指すわけではなく、「ツブ」や「ツブガイ」という標準和名の貝もない。
水産市場でツブ(つぶ貝)と呼ばれるものの多くはエゾバイ科の種であるが、同一種でも地域によっては別の名がある場合もある。
エゾバイ科の貝類は唾液腺にテトラミンと言う毒素を持つ種類があり、該当部位を正しく除去せず食べると食中毒を発症することもある。
引用:ウィキペディア
![](http://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2017/02/sandaime.jpg)
活きつぶ貝は魚市場や魚屋さんでも手に入りますが、大きいサイズはネット注文がオススメです。
つぶ貝の毒について
エゾバイ科のものは唾液腺(通称:あぶら・アブラ)に、テトラミンという弱い毒を含んでいます。
なので調理する前には、この唾液腺を外す必要があります。
このテトラミンは熱にも強く、加熱調理しても消えることはありません。
また、水溶性なので、他の可食部や煮汁にも移行することがあります。
つぶ貝の毒に当たると、どんな症状が起きるのか?
つぶ貝の唾液腺(あぶら)を除かないまま、多量に食べてしまうと中毒症状が起きます。
死亡するケースはほぼ無いのですが、
- 交感神経刺激
- 運動神経抹消麻痺
といった症状に陥ります。
つぶ貝の唾液腺(あぶら)の外し方
つぶ貝のあぶらと呼ばれる唾液腺の外し方ですが、ちょっとしたコツがいります。
貝の身を少し引っ張り出して、緑色になっている内臓のような部分を千枚通しなどで切ります。
そこを押し出すと、スポンジ状になっている鶏皮のような油っぽい部位が2箇所あります。
調理する際は、そこをキレイに除去します。
You Tubeで見つけたのですが、以下の動画がわかりやすかったので貼り付けておきます。
(こちらの動画は、小ぶりなつぶ貝の場合ですね。)
つぶ貝の毒の豆知識
つぶ貝の毒(テトラミン)に当たると、
- 視力の低下
- 朦朧状態
- 頻脈性不整脈
といった、酒に酔った症状に似た状態になります。
そのため、
「つぶ貝のアブラを食べると酒に酔う」
という文句が昔からあるようです。
わざとつぶ貝のアブラを外さずに食べて、酔っぱらい気分を味わう人も、いたとかいないとか。
また、元SMAPの木村拓哉さんが主演された映画で【武士の一分】という映画作品があります。
木村拓哉さん演じる三村新之丞は、大名の毒見役という立場でした。
劇中で毒に当たって失明してしまうのですが、これはつぶ貝の毒にあたってしまったようです。
今回購入したのは【灯台つぶ貝】という無毒の種類
![つぶ貝煮付け1](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk1.jpg)
毒があるとわかると、つぶ貝なんて家で調理する気もなくしてしまいますよね。
しかしご安心を。
スーパーなどで売られているつぶ貝の多くは、「灯台つぶ貝」という種類です。
そして、この灯台つぶ貝には毒がありません。
今回僕が購入したのもこの灯台つぶ貝。
そのため、毒であるテトラミンを含む唾液腺(アブラ)が無いので安心です。
なので、毒を取り除く下処理をしなくても、そのまま調理できます。
購入時にはちゃんとパッケージに「灯台つぶ貝」と記載されていました。
もしも未表示の場合には、お店の人に毒があるかどうかを尋ねることをオススメします。
バイ貝という巻き貝も、毒が無くてオススメ
また、バイ貝という品目で売られている貝も毒がない種類の貝。
こちらも下処理無しで、調理が可能です。
余談ですが、この「バイ」というのは「貝」の音読みが訛ったもの。
なので「バイ貝」というのは、チゲ鍋と一緒で、同意語が重複した形です。
昔は貝を独楽にして遊んでいたらしく、ベーゴマの「ベー」は「バイ(貝)」から来ているそうです。
灯台つぶ貝の簡単な煮付け 作り方とレシピ
さて、それでは灯台つぶ貝を煮付け調理していきたいと思います。
まずは材料から。
灯台つぶ貝の煮付け 材料
- 灯台つぶ貝 適量
- 水 つぶ貝が浸る程度(5)
- 酒 1
- 醤油 1
- みりん 1
- (白だし 0.5)
調味料の量ですが、浸す水を5として、調味料は各1と覚えておけばOKです。
小ぶりな灯台つぶ貝は、思った以上にパクパク食べ進んでしまいます。
経験からして、数多く作ったほうがベターです。
灯台つぶ貝の煮付け 作り方
それでは、写真を見ながら作り方を紹介していきます。
![つぶ貝煮付け1](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk1.jpg)
こちらが買ってきた灯台つぶ貝です。
1パックでしたが、13個入りですね。
二枚貝と巻き貝 それぞれの貝の鮮度の見分け方
巻き貝の鮮度の見分け方なのですが、二枚貝に比べて、ちょっと難しいです。
基本的に貝は死んでいなければ食べられます。
しかし、死んでしまっている場合、身や内臓が腐ってしまっているのでNG。
二枚貝の場合の鮮度の見分け方は、
- 口が開いて身がダラリとしていない
- 悪臭がしない
のどちらか。
巻き貝の場合、外見で見分けがつきにくいです。
面倒ですが、1つ1つ臭いを嗅いでチェックするのが一番良い方法。
死んでしまった貝はかなりの悪臭がしますので、すぐに判断が付きます。
変な匂いがしなければ安全と言えますので、調理が可能です。
![つぶ貝煮付け2](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk2.jpg)
灯台つぶ貝を近くで見るとこんな感じですね。
殻同士がぶつかってしまったのか、こんな風に割れているものもあったりします。
食べる分には問題ありませんので、このまま調理していきます。
まずは水で、灯台つぶ貝の殻の汚れを洗い流す
![つぶ貝煮付け3](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk3.jpg)
流水で殻の水を洗い流します。
小さいため、たわしでこすることが難しいです。
手洗いで汚れを落としていきましょう。
表面のぬめりが取れて、水が汚れなくなればOKです。
![つぶ貝煮付け4](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk4.jpg)
水洗いした後の灯台つぶ貝です。
おおよその汚れは取れましたね。
念のため「唾液腺(アブラ)」チェック
![つぶ貝煮付け5](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk5.jpg)
たこ焼きを作る用の千枚通しで少し身を出して、唾液腺が無いかどうかチェックしてみます。
千枚通しは調理にも色々と使えるので、一つ持っておくと便利です。
先程紹介した動画では、ワタのような部分の中にスポンジ状の唾液腺がありました。
もちろん、灯台つぶ貝にはそれらしきものは見当たりません。
毒がないようなので一安心ですね。
水に浸してひと煮立ち
![つぶ貝煮付け7](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk7.jpg)
水洗いした灯台つぶ貝を鍋に移して、浸る程度の水を入れます。
浸る程度とは、水から少し顔を出すくらいの量のことです。
全部浸かっている状態は「被る」という表現を使いますので、知っておくと便利ですよ。
最初は中火にかけて、沸騰する手前で弱火にします。
アクが出てきますので、網などで濾して取り除きましょう。
アク取りしたら、次は味付け
![つぶ貝煮付け8](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk8.jpg)
出てきたアクをある程度取り除きましたら、次に味付けをします。
調味料を全部鍋の中に入れますと、出汁の温度が下がりますので、再度中火にします。
そしてまた沸騰する手前で、そこから弱火にしてコトコト煮ていきます。
弱火でコトコト、15分煮付ける
![つぶ貝煮付け9](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk9.jpg)
火が強くて出汁がボコボコしてしまうのはNG。
灯台つぶ貝の身が固くなってしまったり、身が奥の方に行って、取りづらくなります。
火加減は弱火でコトコト煮込んでいきましょう。
15分経ったら、火を止めて粗熱を取ります。
粗熱が取れたら、冷蔵庫で一度完全に冷やす
![つぶ貝煮付け10](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk10.jpg)
この時点で完成ではあるのですが、食べる前にもう一手間。
粗熱が取れたら、冷蔵庫で完全に冷やして味を染み込ませます。
煮物の基本でもありますが、熱が冷めていく過程で味が染み込んでいきます。
もちろんつぶ貝の場合も一緒。
すぐに食べたい気持ちを抑えて、一度しっかりと冷ましましょう。
灯台つぶ貝の煮付け 完成
![つぶ貝煮付け12](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk12.jpg)
冷蔵庫で完全に冷やしたら完成です。
そのまま冷菜として食べるもよし、再度温めて食べるのもOK。
![つぶ貝煮付け11](https://www.sugaya-east.com/blog/wp-content/uploads/2018/07/whelk11.jpg)
出来上がった灯台つぶ貝の煮付け。
だし汁に磯の香りが移って、本当に良い香りで旨味もあります。
本当、何粒でもバクバク食べられる美味しさです。
つぶ貝の煮付けには、やはり美味しい日本酒が合いますよね。
僕のオススメは秩父の銘酒「秩父錦」で乾杯です。
お皿に盛り付けて、楊枝や串で身を取り出しながらお召し上がり下さい。
今回使った調理道具と、おすすめのアイテム
今回使った調理道具です。
僕が家やお店でも使っている、オススメのアイテムも併せて明記しておきます。
もし興味があれば、リンクをクリックしてみて下さい。
【灯台つぶ貝】の簡単な煮付けの作り方とレシピ まとめ
この記事のポイントをまとめますと、
- エゾバイ科のつぶ貝には、唾液腺に毒がある
- スーパーで売っているのは主に灯台つぶ貝で、無毒
- 灯台つぶ貝の煮付けは、水5・調味料1で作る
- つぶ貝の煮付けは、1度冷やして味を染み込ませた方が美味しい
ということですね。
居酒屋や旅館に泊まった時によく出てくるイメージがある、つぶ貝の煮付け。
今回使用したのは灯台つぶ貝という毒のない種類でした。
しかし、真つぶ貝などを調理する際は、あぶらと呼ばれる毒を持った唾液腺にご注意を。
煮付けは面倒かと思いきや、20分程度で簡単に出来上がる料理です。
スーパーでつぶ貝を見かけたら、ぜひ家庭でも気軽に作ってみて下さいね。
つぶ貝にも色んな種類があって、小さくてコロッとしている細長い巻き貝を、通称「ツブ」と呼ぶみたいですね。
引用したページにもありましたが、エゾバイ科のつぶ貝には弱い毒があります。
なので、調理する際は注意が必要です。