こんにちは、蕨東口すがやの三代目(野菜ソムリエ)です!
今日はお酢の話をまとめてしたいと思います ^^
うちのお店では主に穀物酢を使っていますが、、、
「穀物酢と米酢の具体的な違いって何?」
から始まり、
「お酢って何でこんなに種類があるの?」
って疑問をずっと抱いていたので、自分なりに調べたことをまとめてみました ^^
知っているようで知らなかったお酢の世界。
ぜひ知っておきたい、お酢のアレコレ!
そもそもお酢とは?
酢(英語ではVinegar)とは、主に酢酸(さくさん)を3〜5%程度含んだ酸味のある調味料のことです。
調味料以外にも、殺菌や防腐を目的としても使われることもあります。
酢酸以外にも
- 乳酸
- コハク酸
- リンゴ酸
- クエン酸などの有機酸類
- アミノ酸
- エステル類
- アルコール類
- 糖類
などを含ませたものをお酢と呼ぶこともあります。
一般的には、原料になる穀物または果実から醸造酒を製造し、そこへ酢酸菌(アセトバクター)を加えることで、酢酸発酵させてお酢を作ります。
簡単に言うと、お酒に酢酸を加えたものが【お酢】ということですね。
お酢の歴史
お酢の歴史(外国編)
英語のvinegarはフランス語から由来していて、フランス語でお酢を意味する vinaigreは「vin」+「aigre」 (酸っぱいワイン)に由来しています。
漢字の「酢」と「酒」が同じ部首をもつように、お酢は酒との関連性がとっても深いのです。
有史以前、人間が酒を作るのとほぼ同時期に、お酢も作られるようになったと考えられているそうです。
調べられた文献上では、紀元前5000年頃のバビロニアにお酢に関する記録があり、紀元前4000年頃にはワインやビールから酢を造り、ピクルスを漬けた記録が残されているそう。
古代ローマでは水に酢を加えた「ポスカ」という清涼飲料水が普通に飲まれていたようです。
西欧における酢の製造法で最も古い方法はオルレアン製法といわれる製法で、
・希釈したワインを空気とともに樽に詰める
・酢酸菌膜を加えて緩やかに発酵させる
・定期的に出来た酢を抜き、新しくワインを継ぎ足す
といったものだったそうです。
現代的な製造法に比べ、空気に触れる部分が少ないため時間が掛かりますが、芳醇な香りの酢が出来るというメリットがあるそうです。
他の製造方法としては、
・18世紀に発明された滴下方式
・より現代的な液中培養方式
というものがあるそうです。
※滴下(てきか)方式
多孔質の素材に酢酸菌を付着させ、そこにワインを繰り返し注ぎ効率よく酢酸菌を働かせる方法。
※液中培養方式
タンク内で曝気した醸造酒に菌を入れて発酵を促す方法。
24〜48時間で、エタノールを酢酸に変える。
いずれの方法でも、製造後は低温加熱処理で残った細菌を殺菌し、高級な酢はその後に熟成期間をかけて、風味やまろやかさを醸すという工程があります。
お酢の歴史(日本編)
日本へは応神天皇の時代(西暦でいうと200年頃)に、中国から渡来したとされています。
律令制では造酒司にて酒・醴(あまざけ)とともに造られており、酢漬けや酢の物、膾(なます)の調理に用いられていたそうです。
※膾
切り分けた獣肉や魚肉に調味料を合わせて生食する料理。
※造酒司(みきのつかさ/さけのつかさ)
律令制の下で置かれた役所で、宮内省の被官(宮内省で従事する人)。
後には酒粕を原料とする粕酢や、米や麹を原料とする米酢が造られるようになったそう。
江戸時代には、
粕酢が紀伊国・粉河(こかわ)=現在の和歌山県
米酢が和泉国・堺=現在の大阪府
が代表的な産地として知られていたそうです。
お酢が出来るまで(現代の一般的なお酢(純米酢)の作り方)
糖化・酒精発酵(まずはお酒を作る)
米を蒸す
↓
「米こうじ(酵素)」と「水」を加える
↓
酵素の働きで米のデンプンが糖に変わる(糖化)
↓
「酵母」を加え、糖をアルコール発酵して、お酒を造る(酒精発酵)
↓
出来上がったお酒をろ過する
酢酸発酵(お酢に変換していく)
出来上がったお酒に「純米酢」を混ぜ合わせて加温し、酢酸菌を加える
↓
酢酸菌の働きによって、原料であるお酒のアルコール成分が、お酢の主成分である酢酸に変わる(酢酸発酵)
熟成作業
発酵が終わったお酢の味を整えるために、1ヶ月程度じっくりねかせて熟成させる。
ろ過・殺菌
「味・きき・香り」を損なわないように、ろ過、殺菌を行う。
このような手順で、純米酢は作られていきます。
お酢の分類(色々なお酢の種類)
食酢
醸造酢(広義)
【穀物酢(広義)】
穀物の使用量が40g/l以上のもの。
■米酢(こめず・よねず)
穀物酢のうち、米の使用量が40g/l以上のもの。
■米黒酢
穀物酢のうち、米(糠を完全に取っていないもの)使用量が180g/l以上のものであり、褐色または黒褐色をしたもの。小麦、大麦を含んでもよい。
■黒酢(香醋(こうず)ともいう)
もち米を醸造し、モミ殻を加えて発酵させた、中国産のものを指すことが多い。
現在では健康食品として流通している側面がつよい。
■粕酢
酒粕を原料とした酢。その色から赤酢とも呼ばれる。
かつては握り寿司の酢飯の材料として一般的だったが、戦後の物資不足と黄変米事件が原因であまり一般には流通しなくなった。
■大麦黒酢
穀物酢のうち、大麦のみを使用し、その使用量が180g/l以上のもの。
色は褐色または黒褐色。
麦芽酢やモルトビネガーともいう。
【穀物酢(狭義)】
米酢、米黒酢、大麦黒酢のいずれでもない穀物酢。
■ハトムギ酢
健康食品として流通。
【果実酢(広義】
果実の搾汁の使用量が300g/l以上のもの。
■りんご酢
果実酢のうち、りんごの搾汁の使用量が300g/l以上のもの。
■ぶどう酢(ワインビネガー)
果実酢のうち、ぶどうの搾汁の使用量が300g/l以上のもの。
■バルサミコ酢
イタリア産の高級ぶどう酢。
【果実酢(狭義)】
りんご酢、ぶどう酢のいずれでもない果実酢。
■柿酢
本来は、熟した柿の実をつぶし、放置して自然発酵させたもの。
【醸造酢(狭義)】
穀物酢、果実酢のいずれでもない醸造酢。
【合成酢】
氷酢酸または酢酸を水で薄め、砂糖類、酸味料、うま味調味料等で味を調えたもの。
日本では沖縄県のみで常用される。
【蒸留酢】
麦芽酢などを蒸留し、揮発性物質よりつくったもの。
こんなにある!色々な【合わせ酢】の種類
合わせ酢とは?
酢を基本として他の調味料などと合わせて調味したものを、合わせ酢や加減酢、調合酢と言う。
たくさんある、合わせ酢の種類
■すし酢
酢飯を作るために、砂糖、塩、みりんなどで調味した酢。
■甘酢
砂糖などを加えた酢。
■二杯酢
酢に醤油や塩で調味した合わせ酢。
■三杯酢
酢と醤油と味醂を同量ずつ合わせた合わせ酢。
■土佐酢
鰹節や昆布の出汁と醤油・味醂を合わせて煮立たせた後に冷ました合わせ酢。
■吉野酢
合わせ酢(三杯酢や土佐酢など)にさらに葛粉を加えてとろみをつけた酢。
■白酢
酢に裏漉しした豆腐や白胡麻を擂(す)ったものを加えた酢。
■梅酢(赤酢)
梅干しを漬けたときにできる酢。
一般の食酢とは異なり醗酵により製造されるものではなく、梅から出たクエン酸が豊富に含まれている。
赤紫蘇の色で着色したものを赤梅酢、色付けされていないものは白梅酢という。
梅と穀物酢に氷砂糖などを漬け込んだ梅サワーを梅酢と呼ぶことがあるが、誤りである。
■ヴィネグレットソース
食用油に酢、塩、香辛料などを加えて攪拌したもの。
サラダなどに用いる。
■酢味噌
甘酢に味噌、からしなどをあわせる。
■黄身酢
合わせ酢(三杯酢や土佐酢など)にさらに卵黄を加えたもの。
■青酢
合わせ酢(三杯酢や土佐酢など)にさらに裏漉ししたホウレンソウ等を混ぜたもの。
■からし酢
からしを効かせた合わせ酢。
■からすみ酢
カラスミと大根おろしと酢を和えた料理。
合わせ酢にも用いる。
■ケシ酢
合わせ酢(三杯酢や土佐酢など)にさらにケシの実を加えたもの。
■胡麻酢
合わせ酢(三杯酢や土佐酢など)にさらにゴマの実を加えたもの。
■ショウガ酢
合わせ酢(三杯酢や土佐酢など)にさらにショウガを加えたもの。
■蓼酢
タデをすって加えた合わせ酢。
■煮返し酢
塩を入れた酢を煮立てたもの。
■醤酢(ひしおす)
醤と酢をあわせたもの。
などなど、合わせ酢には郷土料理の独自的なものもあったり、多岐にわたります。
そして上記に【ポン酢】入っていないことに気付きましたでしょうか ^^
実はポン酢、正確に言うと少し分類が違うのです。
実はお酢を使ってない!?
ポン酢は合わせ酢なの?
ポン酢は元来オランダ語 の「pons (ポンス。柑橘系の果樹、そのジュース)」に由来する語で、柑橘系の果汁をベースにしたものであり、本来酢は使用しないものである。
■木酢(きず)・ポンス(pons オランダ語)
醸造ではなく柑橘類の果汁による酸味調味料の総称。
橙酢(ダイダイ)や柚酢(ユズ)などを用いる。
お酢の豆知識、アレコレ
お酢は掃除にも使える!?
弱酸性の性質をもつお酢と、弱アルカリ性の性質をもつ重曹を同時に用いると、こびりついて水拭きでは取りにくくなった皮脂汚れや水垢が落としやすくなります。
特に重曹を使った掃除の仕上げに用いると、残った重曹をお酢が中和してくれる効果も。
ただ、食酢は匂いがきついため、同じ効果をもつクエン酸を利用するのが良いです。
また、最近では同様の効果をもつ洗剤も販売されているので、昔の人の知恵的なところも、、、 笑
掃除に使えるお酢ですが、酢酸によって鉄製品などは錆ができる原因となるために、材質によっては腐食の原因となることもありますのでご注意を。
ポーチドエッグにお酢を入れる理由とは?
お酢には煮魚などの煮くずれを防止する効果もあります。
お酢にはタンパク質を固める効果があり、魚などの表面のタンパク質を固め煮くずれを防いでくれるのです。
この効果を利用した料理が「ポーチドエッグ」。
お湯に酢を入れて卵を落とすと、卵のタンパク質である白身だけが固まって、なかの黄身がトロトロになるという仕組みです。
詳しくはこちらの記事をどうぞ↓
また、お酢には魚の臭みを消す作用もあるため、煮魚の生臭さを取り除きたい時にも使えます。
お酢には肉を柔らかくする効果がある!?
お酢はタンパク質を固める性質がありますが、これは短時間で煮る場合の性質。
逆に長時間煮込むと、タンパク質を分解させる働きに変わるため、お肉を使った煮物を柔らかくする効果があります。
そしてお酢にはカルシウムを溶かす働きもあるため、肉や魚をお酢で長時間煮込むとホロホロになるのは、お酢がカルシウム分を溶かしていくから。
お酢は微生物の活動を抑制する!?
古来から、酢を使うと食物が腐敗しにくくなることが経験的に知られていました。
この効果を利用した食品として、酢飯やマヨネーズなどが挙げられます。
お酢を使うと腐敗しにくくなる理由は、お酢が腐敗の原因である微生物や細菌の増殖を抑えるためです。
ちょっと難しい話をしますと、腐敗に関わる細菌が活動しやすい性質が中性付近であるのに対して、そこにお酢が加わることによって弱酸性寄りに性質を変えます。
物質が弱酸性に変わると、微生物や細菌の活動がおとなしくなるため、食物は腐りにくくなるという仕組みです ^^
お酢を飲むと、身体が柔らかくなる!?
諸説ありますが、科学的には実証されておらず、ただの都市伝説のようです 笑
昔、サーカスの劇団員が疲労回復のためにお酢を大量に飲んでいたそうで、その姿を一般の人が見て「大量のお酢を飲む=サーカス劇団員のように体が柔らかくなる」と噂が広がったのが原因とか。
また、南蛮漬けや煮物の様に、魚や肉の骨が酢の作用によって柔らかくなるのを指摘して、お酢は体を柔らかくするという言われが広まったとも。
お酢を取りすぎると骨がもろくなるというようなイメージもありますよね。
がしかし、緩衝作用といって、体内のphを一定に保つ働きが作用し、骨細胞中のカルシウムの流出は抑制されるので心配はありません。
お酢についてのまとめ
長々と書いてしまいましたが、お酢について、どんなものかわかりましたでしょうか ^^
お酒と同じ歴史を持つお酢、昔から重宝されていたんですね。
何かお酢について調べごとをしている人の役に、少しでも立てれば嬉しいです!
おまけコラム
こんな高級酢もあるんですよ〜【千鳥酢】
江戸時代から続く、京都の老舗「村山造酢株式会社」で作られているお酢です。
厳選された米を原料に洗米から仕込み、さらに半年もの間伝統の技術を駆使して醸造された米酢。
まろやかな味と香りは素材の持ち味を引き立て、色んな有名料亭や寿司店などで愛用されています。
このお酢は、料理をする人のレベルを上げてくれるお酢です^^
ぜひ機会があれば、実際に使って試してみて下さい!世界が変わりますよ〜!!
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お酢に関して調べた、参考サイトはこちら
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